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アトピー性皮膚炎と目


2019/02/15

 こんにちは。ソレイユ眼科矯正歯科の生田目と申します。
 本日は、アトピー性皮膚炎と目の関係について少しお話しようと思います。

 まず、いきなりですがアレルギーってなんでしょうか。

 アレルギーは、ギリシャ語で「変化した反応能力」を意味するそうです。
 そもそも私たちの体は、病原体(細菌やウイルス)などの異物(抗原)に対し
抗体という抵抗力をつくりだし、抗原抗体反応によって病原体をやっつける
ちからをもってくれています。
 これが免疫の「普通の反応」で、病原体から私たちのからだを守ってくれます。 
 ところが、体内に侵入した異物に対しからだが過敏に反応しすぎると
かえって私たちに不都合な結果をもたらすことがあります。
これが「変化した反応能力」つまりアレルギーです。
花粉症などで目がかゆくて、眼球がゆがむほど強くこすったりしたことはありませんか。
眼球の構造はカメラに似ていますが、もっと軟らかくて精密にできています。

 アトピー性皮膚炎は、自然環境やストレスの多い生活変化に伴い、
思春期以降に悪化するタイプが増加しているようです。
10〜30歳台にみられるアトピー性皮膚炎の目の合併症には
まぶたや結膜のかゆみをおこすアレルギー性炎症だけでなく、白内障や網膜剥離など
重い視力障害につながるものがあります。
目の合併症は気づかずに進行していることもあります。
皮膚炎の治療とともに症状がなくても眼科医による検査が必要な場合があります。

<アトピー性皮膚炎の目の合併症とは・・・>

 アトピー性皮膚炎にともなっておこる目の病気には、眼瞼皮膚炎(がんけんひふえん)
角結膜炎(かくけつまくえん)、円錐角膜(えんすいかくまく)、
白内障、網膜剥離などがあります。
アトピー性皮膚炎は、目のほとんどの部位に影響するのです。
その中でも白内障や網膜剥離はたいへん重い視力障害につながる目の病気です。
眼合併症のみられるアトピー性皮膚炎の患者さんは10〜30歳台に比較的多く
 思春期、成人になるまで皮膚炎が長引いたり、その時期に重症になったりする
 タイプには注意が必要だそうです。

<アトピー性眼瞼炎>

 目の周囲の皮膚に、赤いまだら、湿疹、むくみ、ただれ、かさつきなどの
 アトピー性皮膚炎の特徴的な症状がみられ、かゆみもあります。
 症状が軽い場合は皮膚がかさついてけばだち赤いまだらになる程度ですが
 ひどくなるとまぶた(上下のまぶた)の皮膚が厚くなります。

ー眼球の断面図ー


 かゆみが強いためにまぶたを激しくこすったりすると、
 まつ毛が抜けてしまうこともあります。
 強くかいたりすると眼球に病的な外力が加わり、角膜や結膜に
 障害がおこる割合も高くなります。
 また黄色ぶどう球菌などの細菌感染や単純ヘルペスウイルスなどの
 感染をともないやすく、眼瞼皮膚炎、特にまぶたの縁におきた皮膚炎や
 角結膜炎を悪化させる原因となります。
 さらにアトピー性眼瞼炎が悪化すると、たいへん重い眼合併症が
 発症することもありえますので、安易に目の周りを触るのは危険です。
 本人はこすっていないと思っていても、ひどいかゆみで無意識に
 睡眠中にひっかいている方も多くみられます。

<アトピー性角結膜炎・春季カタル>

 アトピー性皮膚炎をともなうアレルギー性の結膜疾患を
 アトピー性角結膜炎とよぶことがあります。
 他のアレルギー性結膜炎と同様に、かゆみがひどく、涙が流れて
 結膜が厚くなったり、充血したり、濁ったりする症状がでる上に
 まぶたの皮膚が厚くなったり感染をおこしたりするので、
 まばたきや涙液の角膜保護作用が低下して、点状表層角膜症や角膜びらん
 といった角膜上皮障害をともなうことがあります。
 また、春から夏にみられる重症のアレルギー性結膜炎を春季カタルといいますが
 春季カタルの患者さんの70%以上にアトピー性皮膚炎がみられるといわれます。
 春季カタルは、点状表層角膜症、角膜びらん、潰瘍(かいよう)、角膜の混濁
 血管侵入などの重い角膜障害を合併して視力にも影響します。
 まぶたの皮膚炎がなかなか治らない患者さんに重症の角膜炎をひきおこすことが多いです。
 治療は抗アレルギー薬やステロイド薬の点眼を行いますが、目の表面の治療とともに
 まぶたの皮膚炎もしっかり治療することが大切です。
 症状が重い場合は、ステロイド縣混濁液(ステロイドけんだくえき:懸濁液とは、
 固体化してあるものから液体化に変わる液体のこと)を結膜下に注射したり
 免疫抑制剤の併用や乳頭外科的切除、角膜掻爬(かくまくそうは:角膜を
 除去するという意味)を行うこともあります。
 ステロイドの投与が長期になると、緑内障、白内障、感染症などの
 副作用がおこることがありますので、定期的に受診することが必要です。
 アトピー性角結膜炎の患者さんの多くはダニ過敏症なので
 住環境からダニを排除することも大切です。

<アトピー網膜剥離とは・・・>

 網膜剥離とは、カメラのフィルムに例えられる網膜(視細胞)が
 土台となる組織(網膜色素上皮細胞)からはがれる状態をいいます。
 このような状態では網膜に栄養がいかなくなり機能が低下して
 はがれた網膜に対応した部分の視野が欠けてきます。
 網膜の中央である黄斑部が剥離すると、視力が非常に低下します。
 早い時期に網膜が元通りになれば機能がゆっくり戻ってきますが
 時間がたつほど機能の回復は難しくなり、時にははがれた状態のままになってしまいます。
 アトピー網膜剥離の約70%は15〜25歳にみられ、その40%が両眼におこります。
 思春期を過ぎても顔のアトピー性皮膚炎が改善されない人に多く
 将来のある若者の視力障害を予防するために早期発見がカギになります。
 しかし、アトピー網膜剥離はふつうの網膜剥離と異なり、周辺網膜だけが長い間剥離している タイプが多くて、患者に初期の自覚症状が乏しい傾向があります。 
 また、白内障を合併していることが多いために眼底検査がしにくく
 視力障害の原因を白内障だけに求めて、網膜剥離の診断が遅れてしまうこともあります。
 その一方で、ボクシングの外傷でみられるような大きな網膜裂孔(もうまくれっこう:網膜の 亀裂のこと)を生じて、急速に進行するタイプもあります。

<アトピー網膜剥離の原因>

 アトピー性皮膚炎の発症にアトピー素因があるように、網膜が生まれつきもろかったり
 慢性の炎症があったりするなどの、遺伝的あるいは内的な要因がかかわっている
 ともいわれていますが、明らかではありません。
 むしろ網膜剥離の患者さんには、顔、特に目のまわりの皮膚炎が重症な人が多く
 何度も目の周りをこすったり、触ったりすることが原因か、
 あるいはもっとも大きな誘因であろうと考えられています。
 患者さん自身はまぶたをこすっていることを否定して
 就寝中に無意識にひどく触っていることもありますので、ご家族の方も注意が必要です。

<アトピー網膜剥離の治療>

 網膜に亀裂(網膜裂孔)が生じると、その部位の網膜は硝子体に引っ張られるために
 網膜裂孔は進行します。
 そのため治療には、網膜にかかっている硝子体の引っ張りをなくすことと
 網膜裂孔をふさぐ手術が必要となります

 硝子体の引っ張りをなくすためには、眼球の外側にシリコン素材のベルトを縫い付けて
 網膜裂孔の部分を眼球の内側に土手状に突き出させる方法と、
 直接硝子体を切除してしまう方法があります。
 網膜裂孔の大きさや位置、網膜剥離の古さなどで、どちらかの方法が選択されます。
 網膜裂孔は冷凍凝固やレーザー凝固によってふさぎます。

<眼合併症の対策>

 眼合併症は、思春期から成人にかけて顔のアトピー性皮膚炎が重症となるタイプの方に
 多いので、このような患者さんは眼科で定期的な検査を受けたほうがよいでしょう。
 角膜障害や網膜剥離の誘因には、目のまわりをくり返して何度もこすったり
 ひっかいたりするなどの機械的刺激が関係しています。
 そのため、かゆみの原因であるアトピー性皮膚炎の対策が治療の基本となります。
 アトピー性皮膚炎にはドライスキン、二次感染、ストレス、アレルギー環境などの
 いろいろな要因が影響しますので、治療は患者さんのタイプによって異なります。
 ステロイドは現在でも、各種のアレルギー疾患の治療にもっとも確かな有効性が
 期待できる薬です。
 よく効く薬には副作用もあり、その面ばかり強調されすぎて、ステロイドの不適切な
 治療が行われることもあります。
 ステロイド治療を急に中止したための副作用が、眼合併症を誘発することもあります。
 最近ではほかの免疫抑制剤などの有効性も検討されていますので
 皮膚科専門医とよく相談し、タイプにあった治療をすることが大切です。


 みなさん、いかがでしたでしょうか。
 なかなか難しいキーワードをちらほら出してしまいましたが
 皮膚炎とまさか目の病気に関係性があるとは思わなかったのではないでしょうか。
 少しでも、不安要素があればお一人で悩まずにまずは
 専門医への受診を病院スタッフとしておすすめします。




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